北方水滸伝

 北方謙三著、文庫版『水滸伝 9 』、ようやく刊行――毎月20日前後に発売されることが多かった本シリーズ、今月はなぜか月末にずれ込んでいました。
 
 待たされた勢いもあって一気に再読。

 内容についてこの場で語ることは避けますが、相変わらず熱いことこのうえなし。

 で、今回の思わぬプレゼントは、馳星周による解説。
 これがもう大傑作。
 北方版『水滸伝』の本質に迫った名文と言っていいと思います。(偶然にも、前回私がけなした人物について同じような感想を述べている部分もあったりして、評価が甘くなっているかも。)
 第5巻で重要人物の壮絶な死が描かれた瞬間、北方『水滸伝』の描こうとするものが何であるかは私にも伝わってきました。
 そのあたりをこの馳星周の解説は明快に言い当てているような気がします。

 思えば私が北方『水滸伝』が好きであるのには、登場人物の「青臭さ」の魅力に惹きつけられたという部分が大きいのです。
 作中の誰もかれもが、読んでいるこちらが気恥ずかしくなるほどに「真っ直ぐ」に生きようとします。この作品の舞台となった時代の中にあっては、当然そうした不器用な生き方を押し通そうとすれば周りとの軋轢も生じ、自らの立場を悪くするばかりか、命を落とすことにもつながっていきます。

 こんなふうに生きられるわけはない。
 しかし、そういう生き方に憧憬する自分がいる。

 この作品を読む度、そんな自分に気付かされるのです。

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